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杏林大学医学部 第三内科学教室 消化器内科
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センター長ご挨拶

炎症性腸疾患包括医療センター設立について

久松 理一

久松 理一

 このたび杏林大学医学部付属病院消化器内科では炎症性腸疾患包括医療センター、Interdisciplinary Center for Inflammatory Bowel Disease(ICIBD)を設立いたしました。
 炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Diseases, IBD)は主にクローン病と潰瘍性大腸炎からなり、両疾患ともに原因不明の難治性炎症性腸疾患で厚生労働省の難病に指定されています。現在、我が国の患者数は右肩上がりに増加しており、クローン病7万人超、潰瘍性大腸炎22万人と推定されています。IBDは20-30歳代に多く発症し慢性の経過をたどるため就学、就労、結婚、妊娠、出産と様々なライフイベントに影響します。また最近では小児発症例や高齢患者さんの増加も問題となっています。
炎症性腸疾患の治療には専門的知識を持った消化器内科医だけではなく、消化器外科医、小児科医、産婦人科医、看護師、栄養士などの多種の専門家がチームを形成し個々の患者さんの背景に合わせて治療に取り組む必要があります。そして何よりも患者さんを中心として、患者さんと医療従事者が相談しながら治療を行なっていくShared Decision Making (SDM)が長期予後を改善する上で重要になってきます。
 杏林大学医学部付属病院では2015年の炎症性腸疾患外来設立以来、近隣ならびに遠方の多くの医療機関より患者様をご紹介いただいております。その結果、2019年9月の時点でクローン病170名、潰瘍性大腸炎570名を超える患者様が通院されています。今後ますますニーズが増えるIBD診療において、地域の、そして日本の基幹病院としてより質の高い診療を目指したいと考え、多職種連携の仕組みとして炎症性腸疾患包括医療センター、Interdisciplinary Center for Inflammatory Bowel Disease(ICIBD)を設立することにいたしました。“Interdisciplinary”の意味は多職種間で相互に連携し包括的に患者さんを診療するという意味を表しています。ICIBDのタスクは1)地域のIBD診療のへの貢献、2)最先端のIBD診療の提供、3)国内・国際共同治験への積極的参加、4)臨床に貢献する臨床研究の実践、5)IBD診療を担う次世代の医療関係者の育成、と考えています。
 患者様を中心としたチーム医療という理念のもと、患者様、ご家族、地域医療機関の皆様と力を合わせて頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。


2019年10月吉日
杏林大学医学部付属病院 炎症性腸疾患包括医療センター センター長
杏林大学医学部 消化器内科学 教授
久松 理一