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杏林大学医学部 第三内科学教室 消化器内科
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新型コロナウイルス感染リスクについて

炎症性腸疾患(IBD)治療中の患者様における
新型コロナウイルス(COVID-19)感染リスクについて

杏林大学医学部付属病院消化器内科、炎症性腸疾患包括医療センター(ICIBD)における対応:
2020年4月18日現在

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の中、炎症性腸疾患(IBD)患者様におかれましては治療薬(特に、ステロイド製剤、免疫調節薬や生物学的製剤など)の継続にご不安を感じられている方もいらっしゃると存じます。

 2020年4月7日に「IBD患者における新型コロナウィルス感染リスクについて(第1報)」が「厚生労働省難治性疾患政策研究事業難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(IBD班)」、「日本炎症性腸疾患学会」の共同声明として発表されました。同声明は、製薬企業に報告された事例、海外の学会等から公開された声明、発表された論文等に基づくものとなっております(詳細はIBD班ホームページ http://www.ibdjapan.org/、日本炎症性腸疾患学会ホームページ http://www.jsibd.jp/をご参照ください)。 IBD患者におけるCOVID-19感染事例はまだ集積されておらず十分な症例で検証されたものではないことに留意する必要がありますが、現時点でヨーロッパからの声明(https://ecco-ibd.eu/images/6_Publication/6_8_Surveys/3rd_Interview_COVID-19_ECCO_Taskforce_published.pdf、European Crohn’s and Colitis Organisation(ECCO))をふまえた同声明における見解の要点は以下のとおりです。

(1)炎症性腸疾患(IBD)の治療はこれまでと同様に行い、疾患活動性を抑えることが重要であると考えられます。
活動性IBDの炎症自体が感染症のリスクとなりうると考えられます。また再燃により通院頻度が増えることも現状では好ましくないと考えられます。

(2)免疫制御治療を受けている患者様におかれましては、これまで同様に感染症リスク対策が必要と考えられます。

(3)新型コロナウイルス(COVID-19)感染重症化リスクが高いと想定される高齢患者様(特に60歳以上の方、全般的な身体状態の優れない方)については社会的距離(現在の推奨は2メートル)を含めて、保健当局より推奨されるすべてのCOVID-19にかかわる予防策を講じるように注意をしていただきたいと考えられます。


現在、当施設ではこれらの声明もふまえ、原則これまでと同様にIBD患者様の治療を継続しております。ただし、病状が安定している患者様につきましては通院頻度を減らすように処方期間の調整をしております。また、ステロイド製剤、免疫調節薬、生物製剤を含む分子標的薬を使用されている患者様については原則診察前に血液検査を行わせていただくようにいたします。

また、ECCOからの2020年4月3日および4月14日の声明では、
(1)炎症性腸疾患(IBD)患者様のうち医療従事者の方は、特に感染予防につとめる必要があり、免疫抑制剤・生物製剤を使用中の場合は、ハイリスク区域での勤務を控えるように検討する(推奨されている感染予防策は別記事にてご提示します)。
(2)新型コロナウイルス(COVID-19)が陽性となった炎症性腸疾患(IBD)患者様では一部薬剤の休薬が検討される。
とのコメントも出されています。当院通院中のIBD患者様でCOVID-19陽性と診断された方は電話でご連絡ください

新たな本邦IBD班、学会および海外からの声明、報告などがありましたら、順次対応してまいります。

 皆様とともに、この難局を乗り越えてまいりたいと考えております。
 ご質問、ご不明な点がございましたら、遠慮なく担当医にご相談ください。

杏林大学医学部消化器内科学
杏林大学医学部付属病院炎症性腸疾患包括医療センター(ICIBD)
教授・センター長
久松 理一
杏林大学医学部付属病院消化器内科・ICIBD一同





医療に従事される炎症性腸疾患(IBD)患者様における新型コロナウイルス(COVID-19)感染予防策について